読書が好きになる?「走れメロス」に学ぶ、読書の魅力

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皆さんは、読書に夢中になっているうちに時間を忘れ、気づけば何時間も経過していたなんていう経験はありませんか?

読書が好きな方は総じて、「読書から得られるもの」を知っています。新たな本を手にしたときの高揚感や期待感。読破した際、頭に残る余韻やモチベーションの向上、そして感動。本は、こういった経験を与えてくれます。

10代の多くの子供たちは、読書の素晴らしさを知らない子も多く存在します。しかし、こういった子供たちは、見方を変えればちょっとしたきっかけで読書が好きになる可能性を秘めているとも考えられます。

そんな子供たちに是非お勧めしたいのが、標題にもある「走れメロス」なのです。この作品は、読書が好きになるきっかけを包含している素晴らしい作品と言えます。今回は、本作品の魅力・面白さ・読書入門に最適な本である理由などについて言及していこうと思います。

そもそも、「走れメロス」とは?

「走れメロス」は、1940年5月に発表された月刊文芸雑誌『新潮』に収録された、太宰治によって描かれた短編小説です。

簡単な紹介

物語は、主人公のメロス、人を信じることができない暴君ディオニス、メロスの親友セリヌンティウスの3人を中心に展開されます。話のあらすじは、以下の通りです。

村に住む牧人のメロスは、シクラスの市の王様の残虐な行いに激怒して、城に乗り込んで王様に意見するのですが、聞く耳を持たない王様はメロスに処刑を言い渡した。親友を人質として置き、3日間の猶予をえることになったメロスは、村で妹の結婚式を済ませ城へ向かって走り出しました。肉体の限界、心の葛藤、障害を乗り越えてボロボロになりながらぎりぎりに戻ってきたメロスの姿に王様も改心するのでした。

https://ara-suji.com/novel/562/ より

中学校の教材にも取り上げられている作品なので、ご存知の方も多いと思います。それでは、名作「走れメロス」の魅力に迫っていきましょう。

魅力①:とにかく量が少ない!

読書というと、分厚い本をイメージする方は多いと思いますが、「走れメロス」はそうではありません。本当にあっという間に読み切れる量なのです。

文字数にしておよそ9800字。原稿用紙に換算すれば、たったの25枚分。マンガに換算すれば、たったの2巻分です。かの有名な「ハリーポッター」シリーズが1冊約364,000字であることを考えると、衝撃の短さであることがわかってもらえると思います。読みやすさは抜群なので、読書があまり好きではない子供たちにお勧めしやすいですね!

魅力②:心情描写・場面描写がわかりやすく、イメージしやすい!

皆さんは、感動シーンを見てうるっとしたり、激しいアクションシーンを見て興奮したりといった経験はありますか?「走れメロス」は、イメージが浮かびやすい表現が多々あり、いわゆる「感情移入」がしやすい工夫がたくさん施されています。イメージが浮かびやすいということはすなわちマンガに近いということであり、文章をどんどん読み進めてしまいます。

少し例を上げてみましょう。次の一節は、メロスが殺されるために城に向かうシーンで、走ることを諦めかけるシーンです。

「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残りの者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駆け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく目眩を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上がることが出来ぬのだ。天を仰いで、悔し泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎきり、山賊を三人も打ち倒した韋駄天、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、お前を信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。お前は、稀代の不信の人間、まさしく王の思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、もはや芋虫ほどにも全身かなわぬ。

「走れメロス」より抜粋

1人称視点の話し方や言葉の選択も目を引くものがあります。また、句点の数を極端に増やすことで、危機迫った臨場感を演出しています。こうした勢いのある書き方は、マンガを読んで切るときに似た感情を呼び起こすので、中学生にとって読みやすいと言えるのでは無いでしょうか。

まだまだ「走れメロス」の魅力を語りたいのですが、字数制限があるのでここまでにしましょう。(笑)小・中学生のお子様をお持ちの方は、本記事を参考に「走れメロス」に挑戦させてみてはいかがでしょうか。文章量が決して多くなく、それでいてイメージがしやすくマンガに近い感覚を得られるので、読書入門として大変おすすめの一冊です。

マンガは読むのに本を読まない子、映画やドラマは好きなのに本を読まない子らにこそ読んでほしい、1冊のご紹介でした。

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