地域ごとの休校で懸念される学力格差 キーワードは「大学受験」

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新型コロナウイルスの感染拡大によって現在各都道府県や市区町村で一斉休校が行われ、学校のない日々が半ばあたりまえのようになってきています。

今回は、このまま休校期間が続いていくと発生すると予想されるさまざまな事象についてまとめました。ちょっと長い記事ですが、是非最後まで読んでみてください。

学力格差の発生

感染者数の多い地域とそうでない地域によって休校の期間や措置の厳しさは異なります。例えば、東京都と千葉県ではすでに都立・県立学校を4月いっぱい休校することを決定しており、早くても授業再開はGW明けごろになります。

一方同じ首都圏でも茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、山梨県に関しては4月中の授業再開に向けて調整中です。

これにより、休校により授業数が減少する地域と通常通りの授業数となる地域が発生してくることが予想されます。夏休みの短縮などで減った授業数をカバーする案もありますが、下記2つの理由によりうまくいかない可能性が高いと考えられます。

①夏休み短縮によりカバーできる授業数は1~2カ月分程度。感染拡大の規模が広がり続けている現状、夏休み短縮ではカバーしきれないレベルの休校期間になる可能性が高い。

②人の知識の定着には相応の時間と反復が必要。1学期で学んだことを夏休みに反復することでより強固な記憶として定着するので、ただ詰め込めばよいというのは学習の基礎に反する。

上記の理由により地域ごとの学力格差が生まれる懸念があり、それに関しては休校について検討される際にあまり考慮されていないように感じます。

学力格差によりどんな問題が発生するか

では、学力格差が発生するとどういった問題が起こるのでしょうか。

今回懸念される学力格差は地域単位で発生することが予測されますので、理解度や学習意欲に依存する個人の学力格差とは異なる問題が予想されます。

身近なところで最大の問題となるのは「大学受験」に向けた基礎学力の格差です。

小中学校は学習の方法や姿勢を学ぶ期間でもあり、自身の将来を決定するうえで自力で学習していく基礎力をつける期間でもあります。この期間の学習時間を奪われることで全国区の勝負となる大学受験において基礎学力の差によって苦戦を強いられることが予想されます。

ある程度地域内での争いになる高校受験においては休校による学習期間の差発生しにくいと思われますので、「周りも勉強してないからいいだろう」という心理の影響は少ないでしょうが、大学受験となると話が変わってきます。

ましてや学力は基礎を積み上げて指数関数的に伸ばしていくものなので、わずか1か月の学習期間の差が本番では非常に大きい得点の差になることがよくあります。

学力格差は自力で埋めるしかない

ここまで述べてきた学力格差発生による問題ですが、これを埋めるためには自力で頑張るしかない、というのが現状です。特に勉強の苦手なお子さんにはより強くあてはまることとなります。

いくつかの施策が検討されていますが、効果が限定的であることが予想されますので下記に事例を挙げて説明します。

①オンライン授業

オンラインによる授業実施で、休校期間でも授業が実施できる環境の整備が検討されていますが、公立の学校では「オンラインの授業の仕組みがそもそも存在しない」「先生にオンライン授業のノウハウがない」などの問題により整備にどれだけの時間がかかるか、効果の高い授業が実施できるかといった点はまったく未知数です。

また、勉強の得意な子どもはオンラインで一方的に情報を受け取る形式の授業でもある程度理解を深めることができますが、勉強の苦手な子どもはパソコンの画面の先で行われている授業についていけないことが懸念されます。

②宿題等の家庭学習課題

宿題はそもそも学校で学習した内容を自宅で反復して習熟度を高めるためのものです。休校期間中に実施する予定だった新たに学ぶ単元を自力で習得することは困難を極めます。

また、復習のための宿題であっても解き方がわからない状態では全く効果を発揮しません。積み残した苦手があると宿題に取り組もうにもまったく手が進まないといった事態が発生することになります。

学校外に教育の機会を求める

上記理由により、学校の外に教育の機会を求める必要が出てきます。

もちろん学習塾に通うのはひとつの手ですが、外出自粛が求められていたりとなかなか学習塾で勉強させるのも不安、という家庭もあるでしょう。

いくつか家庭で取り組む方法を紹介いたしますので参考にしてください。

①映像コンテンツで苦手単元の復習をする

学習に関する映像コンテンツは無料のものも有料のものも存在しますが、家庭で効率的に学習するのに向いています。タブレット・PC・スマホなど様々なデバイスで視聴可能なサービスがほとんどですので、試しに無料のものから始めてみるのもいいでしょう。

②学校のノートを見返す

きちんとノートが取れていれば、学校で取っているノートには、解き方のポイントや考え方がまとまっている場合が多いです。特に解き方を忘れてしまっているだけなのであれば、自分で書いたノートを見返すことで解けるようになった体験を思い出し、問題演習ができるレベルまで再度到達できる可能性は高いです。

③暗記ものに集中する

解法や考え方が分からないと進められないものは一旦手を付けない、というのもひとつの方法です。

英単語や社会の語句の問題など、暗記系の単元や学習内容であれば自力で取り組むハードルが低いので勉強が苦手なお子さんにはおススメの内容です。

1日1時間などと時間を決めて取り組み、合格点を決めて自分でテストができるとより高い学習効果が期待できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

休校による学力格差の発生と家庭での学習法についてまとめましたが、特に小中学生は自分で参考書等を読んで理解するのは難易度が高く、家庭で取り組める方法は限られてしまいます。

やれることから、少しずつでも継続的に机に向かう時間を取れるように、親子で取り組み方を考えてみてください。

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