マンガで国語力を鍛える? マンガを勉強に変える工夫

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皆さんは、「マンガを読む」ことについてどう思われますか?

この問題提起に対しては様々な意見があると思いますが、「マンガを読むのはとても良いことだ」という認識を持たれている方は少ないと思います。むしろ、マンガばかり読んでいる子に対して、「マンガばかり読んでいないで、勉強をしてほしい」と考える方は多いのではないでしょうか。

しかし、ちょっとした声かけでマンガは読解力を鍛える優れた勉強道具に早変わりします。本記事では、マンガを利用した国語力養成方法についてまとめていきたいと思います。

1. 本が嫌いでマンガが好きな子が多い理由

そもそも、なぜ本が嫌われ、マンガが好まれるのでしょうか。

様々な理由が考えられますが、一番大きな理由は「イメージする作業の省略ができるから」だと推察されます。

論より証拠ということで、次の文章を読んでみてください。

黒人兵は長い両膝を抱え込み、顎を脛に乗せたまま充血した目で僕を見上げた。彼の黒い足と柱を結びつける太い鎖が、僕の目をぐいぐい引きつける。汗と埃の匂い、そして霧粒の混じった空気が首筋にまとわりついて離れない。ふと、黒人兵と目があった。黒人兵の目に僕は、諦めと怒りが入り混じったような感情をみた。その時、目の前の黒人が「人」であることを強く自覚し、興味本位で地下に降りた自分を恥じたのだった。

大江健三郎「飼育」より

読書をする際は、「イメージする力」「考える力」「整理する力」の3点が不可欠です。

例えばこの文章であれば、「黒人兵は何者なのか」「なぜ鎖に繋がれているのか」など、場面をイメージすることと思います。そして、これまでとこれからの展望を推測したり、主人公の心情を整理したりしながら読み進めていくのでしょう。こういったことを「イメージすること」に読書の本懐はあります。しかしながら、これらの作業を面倒くさいと感じる子供が多いのが一般的と言えるでしょう。

一方、マンガはどうでしょうか。読書同様「考える力」「整理する力」は必要になりますが、「イメージする力」は必要ありません。言わずもがな、マンガには初めから「絵」が書かれているため、話の内容やストーリーを整理していくだけで、読書同様の「楽しい」という境地にたどり着くことが可能なのです。以上のことから、子供にとってマンガは、「イメージする作業を省略しつつも、読書の面白い部分を味わえるツールということが言えます。

2. マンガを勉強道具に変える工夫とは?

記述の通りマンガはイメージすることを省略できますが、ここを逆手に取ることで一転国語力を鍛えるツールにすることができると私は考えています。いくつか具体例を上げ、その後解説するという形でご紹介いたします。

1. マンガを読む前に表紙などから話の流れを推測し、答え合わせという形で読む

2. どのようなマンガなのか、何が面白いのかを子供に説明させる。納得できる回答が来たとき、最新刊を買い与える。

3. 登場人物の人物像をノートにまとめる。

それでは詳しく解説していきます。

1.について

「話の推測」をするためには、文章中の様々な要素を考慮し、脳内で話の筋道を構築する必要があります。それを考えさせることは、国語力上昇に大きく影響を及ぼすでしょう。

2.について

筆者は少年時代、マンガを買うためには「母にそのマンガの面白さを説明し、納得してもらわなければならない」というルールがありました。

最新刊を手に入れるために、あの手この手を使って面白いところを力説した記憶があります。その経験もあってか、今でもそのときに買ったマンガのストーリーを思い出し、人に説明することができます。

相手の頭の中に情報を受け入れるための箱を構築し、そこに情報を入れていくという経験は、大人になった今でも活かされています。(当時は本当に大変でしたが…笑)

3.について

小学生の頃、ある夏の自由研究で、とあるマンガの登場人物の考察を行ったことがあります。その登場人物がどういう人間なのか、身近な人で例えると誰になるのかなどを考えることで、文章中の人物関係や心情の把握を無意識のうちに行うようになりました。この経験も、振り返れば国語力向上に役立ったと感じます。

いかがでしたでしょうか。

マンガと聞くとあまり良いイメージは浮かばないかもしれません。しかし、ちょっとして工夫で国語力を鍛えるツールになる可能性を秘めています。どうせマンガを読むなら、「国語力を高ながら」マンガを読む方がいいですよね。

少し自分語りも入ってしまいましたが、お役立ていただければ幸いです。

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